1.tax-4遺伝子のクローニングの進行状況:tax-4遺伝子の突然変異は、温度無走性やある種の化学物質に対する化学無走性を結果するため、この遺伝子は、広範囲の刺激受容伝達機構に関わっていると考えられる。tax-4(ks11)変異は、遺伝的に第3染色体のdpy-19-unc-69の約2.5m.u.のDNA領域にマップされていたが、本年度は、さらにマッピングを詳細に行った。トランスポゾンTclの系統間多型やPCR法を利用して、tax-4遺伝子の範囲は、dpy-19-stP127(Tc1)の領域にせばめられた。現在、さらにこの領域内に存在するTc1K多型、eP6、eP7、eP8、eP9に対してのtax-4の相対的位置をサザンハイブリダイゼーションを利用して決定すると共に、ごく最近この領域内でクローニングされたced-7やemb-9遺伝子とtax-4遺伝子との位置関係を古典的な3点交雑法により、決定しようと試みている。一方、dpy-19-unc-69間のDNA領域をカバーする約30個のコスミドクローンによるtax-4(ks11)変異のレスキュー実験を試みたが、まだ、温度走性が野生型に復帰した形質転換体は得られていない。そこで、現在、この領域をカバーするYACクローンを用いてレスキュー実験を試みようと計画している。現時点では、YACクローンを含むyeast系統を増殖させ、溶菌させてパルスフィールド電気泳動法により、各染色体の分離がようやくできるようになったところである。 2.TMP(トリメチルソラレン)処理による欠失突然変異の単離:TMPは、平均約1kb程度のDNAの欠失を起こすといわれている突然変異誘発剤である。この薬剤を用いて突然変異株を分離することは、1)null変異が得られる、2)遺伝子クローニングがDNAの欠失を指標として行うことができる、という利点がある。そこで、本年度は、TMPによる温度走性異常変異株の単離を行った。今のところ、好冷性変異株を2株分離した。最近の解析から、そのうちの1つ、ks48変異に母性効果があることがわかった。
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