研究概要 |
1.ガマ(Typha latifoliiaL.)の培養条件の検討 1)ガマを自生地での採集が困難な冬季でも、温室内で生育させて供給ができるようになった。 2)昨年度実施した培養装置では、酸素濃度が1%以下にすることができないことが明らかとなった。種々検討の結果、高純度窒素ガスから、調圧器、微量フローバルブをステンレス管で配管した装置を組み立て、0.01%以下の酸素濃度で長期間培養することを可能とした。 2.無酸素条件でのガマ根茎芽のアルコール脱水素酵素(ADH)の活性変動 無酸素条件での幼芽と緑葉でのADHは活性変動を比較検討した。幼芽では、一日の無酸素処理によりADH活性は急激に上昇し、その比活性は十日間に渡り上昇する。緑葉では、一時的活性の上昇しか認められず、幼芽の強い嫌気耐性が、ADHの活性の維持と密接に関連していることが示唆された。 3.無酸素条件でのガマ根茎芽のタンパク質合成 1)ガマ幼芽の可溶性タンパク質を二次元電気泳動で分析した結果、無酸素条件で、特に50kDa以下の大きさで、低いpIを持つ数種のポリペプチドの含量が劇的に変化することが明らかとなった。 2)35S-Met,Cysを使い、ガマ幼芽のin vivoタンパク質合成の変化を二次元電気泳動で調べた。一日の無酸素処理により、35Sの取り込み量が著しく減少し、翻訳レベルでのタンパク質合成の質的、量的変化が見られることが明らかとなった。現在、その二次元電気泳動パターンの変化を詳細に検討している。 3)ガマ幼芽のin vitroタンパク合成産物の変化を調べるために、様々な方法でpoly(A)+RNAの単離を試み試みているが、翻訳活性のあるpoly(A)+RNAが未だ安定して取れない。その原因を現在調査中である。
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