単細胞緑藻クラミドモナスのクロロプラストに存在するピレノイドは電子顕微鏡などで見いだされる構造体である。生体膜に包まれていないため、その活性を保ったままで単離することは容易ではない。そこで、主成分であるリブロース1、5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)の単離を行なった。これまでの報告では、FPLCのモノQカラムを用いるのが多かったが、単離を迅速に行なうため、HPLCを用いる系を開発した。カラムの樹脂を検討したところ、DEAE-5PWやPhenyl-5PWはRubiscoを不可逆的に吸着してしまった。しかし、DEAE-3SWで分離が可能となったが、2つのピーク(保持時間18分と22分)に分離することが明かとなった。その2つのピークの高さが細胞のサンプルによって異なることから、現在、培養条件による変化を検討している。また、グアニジン塩酸処理によりRubiscoを各ペプチドに解離すると、DEAE-3SWで小サブユニットと思われるピーク(約5分)も見いだされた。現在その確認を行っている。 ピレノイドの周辺に存在するピレノイドスターチとストロマに局在するストロマスターチとを区別することはまだできない。そこで、まずamyloglucosidaseを用いて細胞のデンプン量を分解し測定した。その結果、現在用いている培養条件では、細胞は4〜13mg/ml pcvのデンプンを持っていることが判明した。それより低いデンプン量の突然変異株を探索中である。また、デンプン合成、特にbranching enzymeの遺伝子に関する研究も開始した。
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