研究課題/領域番号 |
05804050
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
林 しん治 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 副参事研究員 (20076996)
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研究分担者 |
折笠 千登世 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 流動研究員
岡村 裕昭 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 主事研究員 (60213972)
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キーワード | エストロゲン受容体 / 運動ニユウロン / 一過性出現 / 免疫組織化学 / 遺伝子発現 / 顔面神経核 / 新生仔 / ラット |
研究概要 |
新生仔ラットの顔面神経核神経核内側亜核に一過性に出現するエストロゲン受容体(ER)免疫活性が、ERタンパクそのものの存在を示していることを確認する目的で、【.encircled1.】ER活性の出現の時期の検討、【.encircled2.】in situ hybridization組織化学による、遺伝子レベルでの発現の検討、および、【.encircled3.】ERタンパク分子の異なるエピトープを認識する抗血清を用いた免疫組織化学による検討を行った。これらの結果、【.encircled1.】ER活性の出現ピークは日令6日から11日の間に存在した。【.encircled2.】免疫組織化学でER-活性が検出されたと同じ神経亜核に、ER-mRNAが検出された。また、大量のエストロゲン投与が、ER-mRNA発現を抑制する、down-regulationが見られた。【.encircled3.】異なるエピトープを認識する抗血清による免疫組織化学によっても、この亜核にER免疫活性が認められた。これらの観察から、この神経亜核に一過性に出現するER活性は、ER分子そのものであることが確認された。 つぎに、この神経亜核に見られた、ER含有細胞の同定を行った。【.encircled1.】運動ニユウロンに特異的に存在する、コリンアセチル転移酵素(ChAT)とERとの同一ニユウロン内共存を検討したところ、全てのER含有細胞にChAT陽性の反応が見られた。【.encircled2.】電子顕微鏡を用いた免疫組織化学によって、ER陽性細胞の形態は、ER陰性である運動ニユウロンと極めて類似した微細構造であった。【.encircled3.】一方、この亜核の運動ニユウロンが投射している顔面表層筋である、後部耳介筋に逆行性標識物質を微量注入し、この物質がER含有細胞に貯留するかを検討したところ、標識物質のほとんどはER含有細胞内に認められなかった。【.encircled4.】しかしながら、この標識物質を顔面神経内に直接投与すると、全てのER含有細胞に標識物質が取込まれていた。したがって、この神経亜核に一過性に出現するERは、標的筋肉に対する投射が未熟である運動ニユウロンのみに出現し、投射の完成に伴って消失することが示唆された。
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