研究課題/領域番号 |
05804050
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物形態・構造
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
林 しん治 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 副参事研究員 (20076996)
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研究分担者 |
折笠 千登世 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 流動研究員 (20270671)
岡村 裕昭 農水省畜産試験場, 生理部, 研究員 (60213972)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | エストロゲン受容体 / 運動ニュウロン / 発達 / 免疫組織化学 / 遺伝子発現 / 顔面神経核 / 聴覚野 / ラット |
研究概要 |
新生仔ラットの顔面神経核内に一過性に出現するエストロゲン受容体(ER)免疫活性の性質を他の部域に検出されるERとの比較を行いながら検討した。ラット脳内に検出されるERタンパクは、成熟ラットで検出される分布域に新生仔期にすでに検出される第1型(成熟型)と、新生仔期のみに一過性に検出され、成熟後は検出されない第2型(新生仔型)とに大別された。第1型は視束前核・分界条床核・視床下部弓状核・視床下部腹内側核・脳室周囲核・腹側手綱核・中脳灰白質・扁桃体内側核・扁桃体皮質核等に、第2型は顔面神経核内側亜核と大脳皮質聴覚野第5層に検出された。これら両型ともエストロゲン投与によって免疫活性は抑制され、ERmRNAの発現もin situ hybridizationによって検出された。一方、第1型の分布域は、エストロゲンをアンドロゲンに転換する酵素であるアロマターゼの分布域とほぼ一致していたが、第2型の分布域にはアロマターゼが検出されなかった。雌雄間の差も、第1型には存在したが第2型には検出されなかった。したがって、脳の性分化に直接的に関与しているのは第1型であり、第2型は脳の性差に関与するよりもむしろニュウロンの一般的な発育に関与している可能性が示唆された。さらに、顔面神経核内側亜核のER含有ニュウロンの投射域を軸策内逆行性標識法を用いて検討した所、標的筋である後部耳介筋に投射しているニュウロンは少なかったが、顔面神経に標識物質を直接投与した場合は全てのER含有ニュウロンが標識された。さらに、これらのニュウロンは運動ニュウロンのマーカーであるコリンアセチル転移酵素陽性反応が見られた。また、電子顕微鏡を用いた免疫組織化学では、ER陽性細胞の微細構造がER陰性である運動ニュウロンと極めて類似していた。以上の観察から、顔面神経核内側亜核のERを一過性に発現する細胞は、未熟な運動ニュウロンであることが示唆された。
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