研究概要 |
光弾性変調器、偏光板、回転試料台、He-Neレーザ、ロックインアンプで構成される高精度複屈折装置を試作した。さらに、これに1/4波長板,もう1台のロックインアンプを加えることにより、透過光の変調周波数成分とその倍の高調波成分を測れるように改良した。これにより主応力差と主応力方向を同時に計測できるようになった。また、装置の計測制御をかなりの部分をコンピュータにより自動化した。これにより、多数の点の応力を正確に求めることができるようになった。この成果は、1994年11月の国際会議(米国・シカゴ)で発表した。また、機械学会論文集に投稿する予定である。また、この装置と方法により、従来は不可能であった接着層内の残留応力の二次元的構造を実験的に求めることができた。 当初予定した三次元応力場の実験解析的解法は困難なことが実験応力解析の結果わかったことは残念である。これは、接着層内で小さい値である厚さ方向の応力が無視できない(正確には微分値が無視できない)ことが判明したためである。しかし、エポキシ樹脂で接着されたガラス板の接着層内の残留応力(三次元応力の二次元投影)を0.1mmの空間分解能で測定できるようになり、実験装置や測定方法では十分な進歩がみられた。また、三次元応力解析についても有限要素法を利用した逆問題解析の可能性があり、今後はこの方法について研究を進めていく方針である。解析については、平成6年度に三次元有限要素モデル解析とせん断応力差積分法による二次元応力分布の実験応力解析結果との比較を行い、実験応力解析の妥当性の検証およびその精度を調べた。
|