微生物の材料プロセス機能を利用した新しいタイプの材料加工法(バイオプロセシング)を開発するためのシーズ的研究として、海洋微生物の金属材料に対する作用について一般的調査を行い、これに基づいて微生物除去加工(バイオマシニング、MBM)および微生物材料生成(バイオデポジション、MBD)の可能性について検討した。この結果、以下のような知見および成果を得た。 1。海洋微生物腐食の基礎研究 (1)無酸素銅板の微生物腐食試験を行い、EPMA分析およびX線回折により試験片表面層および腐食生成物を調べ、構成物質を特定するとともに、微生物の効果およびその機構を明らかにした。 (2)バイオマシニングに最適な腐食温度を明らかにした。 2。バイオマシニングの検討 (1)人工的に加工対象領域を嫌気性環境とし、嫌気性細菌の活動により金属表面に凹パターンを刻印する手法を考案し、その妥当性について検討した結果、無酸素銅板表面に各種パターンを刻印することができた。 (2)自然の条件では、再現性および加工速度に問題があるため、本法の改善策についてさらに検討した。この結果、青さび接種法およびリーチング法が有効であることを見出した。 3。バイオデポジションの検討 微生物処理を施した基板上に金属結晶体を着床・成長させる手法を考案し、その有効性について検討した。この結果、微生物が本法に有効に作用することを確かめるとともに、微生物処理基板に銅の結晶体を着床・成長させることに成功した。
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