研究課題/領域番号 |
05805020
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
工藤 一彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (40142690)
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研究分担者 |
黒田 明慈 北海道大学, 工学部, 助教授 (90202051)
谷口 博 北海道大学, 工学部, 教授 (60001161)
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キーワード | 表面張力対流 / 液滴 / 数値解析 / ベナード対流 / 3次元 |
研究概要 |
1.球状液滴内2次元非定常表面張力対流解析プログラムによる解析 既開発の題記プログラムを用い、外部加熱・冷却条件と、表面張力対流の強さの関係を調べた。また、実用上問題となる液滴全体の平均温度の上昇に及ぼすマランゴニ数の影響について調べた。この結果、マランゴニ数の増加は液滴表面の周方向の温度差は増大させる効果はあるものの、入熱と出熱を共に増加させるため、液滴の平均温度の上昇にはあまり寄与しないことを明らかにした。 2.球状液滴内3次元非定常表面張力対流解析プログラムの開発 題記表面張力対流の解析のために、3次元球座標系において有限体積法を用いて基礎式の差分化を行い、SIMPLE法で解析を行うプログラムの開発を行った。このプログラムでは、球を半径方向に32、周方向に32、天頂角方向に64に等分割している。初期条件としては球状液滴全体の温度を均一とし、外部の雰囲気温度を時刻>0でステップ状に一様に降下させることで表面張力対流を生起させるものである。ここで、液滴は外部雰囲気との間で一定の対流熱伝達率で熱を奪われるとする。現状では、表面張力対流の開始位置を固定するため、表面上の一点の初期温度として他の部分より10%高い値を与えてある。 以上の解析により、現在までに3次元球状液滴中の1個の表面張力対流渦の成長過程が計算された。これによると、従来の平らな液面における表面張力対流では、表面近傍に限定された平らな渦の生成が見られたが、球状液滴では、液滴表面の曲率のために、渦が液滴の内部に入り込み、液滴表面にその底面を置き、液滴の中心付近に頂点を置く円錐状の渦が生成することが示された。 今後は、計算速度向上のため、プログラムのベクトル化、加速係数とタイムステップの最適化を行う予定である。また今年度はこのプログラムを用いて単一渦の成長を求めたが、来年度は複数渦の干渉、最終的な渦数、これに至るカオス的な渦の成長、合体過程についての解析を行っていく予定である。
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