液体が強くサブクールされている場合に、核沸騰以降の、本来遷移沸騰や膜沸騰が生じる領域において、伝熱面温度がほとんど一定に保たれたまま、熱流束が核沸騰の限界熱流束をはるかに超えたところまで増加する現象、すなわち気泡微細化沸騰について、その発生条件と安定性に重点をおいた研究を行った。実験は直径15mmの水平上向き伝熱面に、サブクール水を伝熱面周囲から供給し、中心上方に吸い上げる系でおこなった。 気泡微細化沸騰は供給される液体のサブクール度と流速に強く影響され、それらの大小により大きく分けて2種類の異なった様相、および伝熱特性を示す。一つはサブクール度と流速がともに大きい場合に生じるもので、大きな沸騰音を伴いながら微細気泡を伝熱面から噴き上げ、熱流束は2×10^7W/m^2以上にも達する。これをS-MEBと名付けた。このとき伝熱面まわりの液体の圧力変動は大きいが、伝熱面の温度変動はCHFに比べて小さく、気泡運動の激しさと、液体の攪拌の強さを示している。 もう一つはサブクール度と流速がともに比較的小さい場合に生じるもので、気泡は微細化するが激しい攪拌は行われず、発生音も静かである。また、熱流束の急激な上昇もない。これをC-MEBと名付けた。中間的な条件では、両者の間を往復振動するなど、不安定な様相を呈する。 現在、気泡の挙動と発生音、ならびに圧力変動の詳しい測定と解析を行っており、その結果を基に、気泡微細化現象の機構を考察する予定である。
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