液体が強くサブク-ルされている場合に、核沸騰以降の本来遷移沸騰や膜沸騰が生じる領域において、伝熱面温度がほとんど一定に保たれたまま、熱流束が核沸騰の限界熱流束をはるかに超えたことろまで増加する現象、すなわち気泡微細化沸騰について、その発生条件と安定性に重点をおいた研究を行った。 実験は5mm×10mmの水平上向き及び鉛直伝熱面に、サブク-ル水を伝熱面に並行に供給する系でおこない、気泡微細化沸騰で生じる音について音圧レベルの周波数特定特性を計測し、サブク-ル核沸騰の音との比較から、両者の違いを定量的に示すとともに、その結果から気泡微細化現象の発生音と伝熱現象の関係を考察した。 (1)気泡微細化現象はサブク-ル核沸騰とは異なる大きな音を発生し、その音圧レベルは二つの卓越した周波数を持つ。 (2)周波数500〜1250Hzに現れる音圧レベルのピークは特に大きく、核沸騰領域ではあまり見られない気泡微細化現象独特のピークである。 (3)周波数8000〜16000Hzに現れるピークは、高サブク-ル時には核沸騰でも生じる。 (4)それぞれのピークの強さはサブク-ル度および熱流束と密接な関係がある。とくに熱流束と強い相関を示す。 また、音は沸騰の場合には気泡の成長・収縮の挙動によって発生している可能性が高いことから、音圧レベルの測定と同時に高速度カメラによる気泡運動の撮影を行い、気泡微細化現象での気泡の様相と発生音の関係を検討すると共に、その結果を基に気泡微細化現象の熱伝達機構に対する考察を試みた。 (5)気泡微細化現象では気泡が伝熱面に向かって崩壊する。 (6)気泡の崩壊周波数と音圧レベルの周波数は類似した分布を示す。 (7)(4)および(6)を併せて考えると、気泡微細化現象の熱伝達には気泡の崩壊が重要な要素として関わってきることが考えられる。
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