生体筋力の新測定法の確立を研究目的とし、本研究は第一段階として自転車エルゴメータを計画していた。しかし、調査研究を進めたところ、基礎的研究が予想外に少なく、古くから研究されている慣性車輪を上腕で駆動する運動に変更した。その後は計画が順調に進んだ。 初年度(平成5年度) 1.慣性車輪の改造(長谷川)運動を計測し必要データをパーソナルコンピュータに取り込み、データ処理を行うための計測システムを開発した。 2.生体筋力による計測データの収集(塩野谷)タイプの違う筋力特性を収集する目的で、各種スポーツ選手の駆動特性を計測した。 最終年度(平成6年度) 1.逆解析システムの開発(長谷川)逆解析手法として遺伝的アルゴリズム(GΛ)を選び、慣性車輪の運動シミュレーション解析プログラムを開発し、これらを統合した逆解析システムをワークステーションで構築した。 2.逆解析システムの検証I(長谷川)開発したシステムを用いて、前年度収集した各スポーツ選手の駆動特性データにより生体筋力特性の同定を試み、得られた筋力特性値を用いて駆動シミュレーション解析を行った結果、良い精度であることを明らかにした。 3.サイベックスタイプの測定装置による関節駆動特性の計測(塩野谷)従来のサイベックス式等速運動時の駆動トルク特性を計測した。 4.逆解析システムの検証II(長谷川)同定した筋力特性値を等速運動時に適用して駆動トルク特性の解析を行った結果、全域で計測結果と良い一致をした。 以上より、本手法が妥当であり任意の運動に対応できる優れた新手法であるとの成果を得た。
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