研究概要 |
研究代表者らは先に,人工衛星の大形化に伴う姿勢制御用燃料の増大に対応して,現在のガス圧送方式に対して,燃料ポンプをダイレクト駆動することによりシステムの高効率化と軽量化を図る「リニアモータポンプ方式」を提案し,実際にリニアパルスモータ(LPM)及びドライバを試作してモータの特性解析や設計に関する研究,さらに可動子にバネをつけてサイクル運動系を構成した場合の動作解析を行うことにより,同ポンプ方式の実現に目処をつけることができた。本研究は,この燃料ポンプ駆動用リニアモータの実用化研究として,小ストロークのサイクル運動を行う用途に適し,さらに高効率で小形軽量化が可能なリニアモータの選定と最適制御法の開発に関する基礎研究を行ったもので,得られた主な成果は,以下の通りである。 1.LPM,ドライバ,推力センサ,リニアエンコーダ及び計測値処理装置で構成されるオンライン試験装置を製作し,LPMが速度・位置指令通り制御されることを実験により確認した。 2.また,モータを円筒状にし,可動子(軸)をポンプと共用し一体構造にして重量の軽減を図ることを考案した。現在,円筒形LPMを購入して基礎特性を求め,平板形LPMの重量や性能比較を行っている。今後,ポンプとの一体化に伴う問題点を明らかにし,さらにその対応策を検討すると共に,最適制御法の検討を行って,実用化に結びつけて行きたい。 3.リニア誘導モータ(LIM)について,目的関数,制約条件を自由に設定できる非線形最適化手法を用いた最適設計プログラムを開発し,重量最小条件で設計,試作を行い,推力等の実測値が理論値と良く一致することを確認した。現在,モータ駆動用インバータをベクトル制御可能なものに改良中である。 4.リニア直流モータ(LDM)設計のための,文献調査及び解析手法の評価を行った。現在,最適設計プログラムの構築を行っている。 5.各リニアモータの実機設計に備えて多目的最適化手法を用いた最適設計プログラムを完成させた。
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