1.電波空間パターンの低域成分除去 電波のマルチパスフェージングにより作られる電波電界強度パターンを速度計測の空間尺度として利用する。このパターンには中央値変動と呼ばれる低周波成分が含まれる。この成分は速さ計測おける誤差の原因になる。空間フィルタの考えかたを導入してこの低域成分の除去を図った。具体的には2本のアンテナで捉えた電界強度の空間差分をとり、その出力の波形の周波数から速さを推定する。1本のアンテナの場合に比べて、きれいに低周波成分が除去され、速さ計測の精度が向上できた。 2.多数のアンテナによる電波空間フィルタリング 多数のアンテナを利用して空間フィルタを構成する。この場合、2本のアンテナに比べて空間周波数特性がシャープになる。このことを実測した電波電界強度パターンに適用してシミュレーションで検証した。理論から推定できるとおり精度の高い速さ計測が可能になった。 3.GPSと車両局地センサーの融合 同じく電波を利用するGPSと自動車速さ計とレートジャイロを融合し、より精度の高いポジショニングの方法を提案し、その妥当性を確認した。GPSのポジショニング情報と車両センサーの出力を関係づける状態方程式を作り、この状態方程式にカルマンフィルタを適用する方策を採用した。実車両、実環境で実験を行い、SAによる誤差は削除できないが、連続的にポジショニングが可能になった。これはマップマッチングを極めて容易にする。
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