不飽和土用三軸装置に三軸室内のセル水の温度を一定に保つ恒温循環装置を取付けた三軸装置を試作し、温度を制御しながら不飽和土の三軸圧縮試験を行なった。用いた試料は桜島火山灰土である。桜島火山灰土を試料として用いた理由は、桜島火山が活発な火山活動を続けているのに伴い、周辺地域に桜島火山灰土が多量に供給され、地表面の土層を形成するようになってきているため、その熱的性質を考慮した不飽和力学特性の把握が必要と考えたためである。初期含水比(飽和度)、初期間隙比の異なる桜島火山灰土の不飽和供試体を作製し、セル水の温度、サクション、高速圧の異なるひずみ制御型の排気・排水三軸試験を行なった。等方圧縮過程では排水量-時間関係、体積ひずみ-時間関係が明らかにされた。せん断過程では軸差応力-軸ひずみ関係、排水量-軸ひずみ関係、体積ひずみ-軸ひずみ関係が明らかにされた。温度の変化が10度-30度という狭い範囲でしか実験を行なえなかったため、定量的な力学特性の把握まで至らなかったが、それらの実験結果より次のようなことが明らかにされた。【.encircled1.】温度の変化による間隙水の粘性係数の変化、不飽和状態での間隙流体のサクション効果、間げき流体の相変化などが複雑に係わり合って、桜島火山灰土の圧縮・せん断挙動が表われていること、【.encircled2.】不飽和土の力学的挙動を考察する際には間隙水の挙動と土粒子の挙動は独立して取り扱うべきこと、すなわち、間隙水の挙動は供試体内の間隙水圧分布(動水勾配)に依存し、一方、土粒子の挙動は粒子間力(有効応力)に依存していることがわかった。
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