研究概要 |
3年次の設計課題の3年生15人を対象として、設計期間(8週間)のエスキースを記録した。特に、延べ240回のプロトコルデータの収集とともにエスキーススケッチも併せてチェックをおこなった。さらに、これらのプロトコルデータのテープを文章化し、文節単位に分けた上で、空間の「視点」を抽出した。これらのプロトコルデータから、何をどこから見ているかを整理して、「視点」の10類型の出現とその組み合わせを取り出した。以下が、平成6年度の分析から得られた知見である。 (1)被験者によって使う「視点」類型の種類が大きく異なっていることがわかった。最も多くの類型を用いている被験者は、7類型を用いて設計を進めており、最も少ない類型の被験者は、3類型であった。特に、Spo,Sp-o,Sp-ooは、被験者すべてが用いているが、Sppo,Spp-o,Sp-po,Spo-oは、そのその使用される頻度が低く、1-2人にしか確認されなかった。 (2)用いられる割合の高い類型は、「位置」と「対象」が一対一に対応する類型であり、逆に、「位置」を移動する4つの類型の使用頻度が低いことが「視点」の特徴である。 (3)「視点」の10類型の中から、よく用いられる「視点」(Spo,Sp-o,Sp-oo,Spo-o)を選んで、その使われ方の頻度を被験者ごとに比較した。これらのデータをクラスター分析によってその特徴を捉えた結果、被験者は大きく2グループに分かれることがわかった。すなわち、SpoまたはSp-oの比率が50%以上ある1つの「視点」類型を集中的に用いる被験者のグループと、4類型を平均して偏りなく用いるグループとである。
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