今年度は、平成5年度に得られた「視点」の10の類型を、空間を創るときの「単語」と捉えて、これに対する「文章」としての空間の生成特徴にについて分析を行った。つまり、設計者が空間をイメージする時にもつ「視点」を手がかりにして、「視点」の出現特性とともに、それが組み合わされて空間として統合される様態を分析しその一面を分析した。ここでは、「視点」の軸という概念(「文章」にあたる)を分析の対象として、「視点」の類型が設計プロセスの中でどのように出現し、それがどのように組み合わされ統合されていくのかという構造特性(設計方法の豊かさ)を捉えている。平成6年度の分析結果は、以下にまとめられる。 1.「視点」の出現の仕方について、「発生」・「展開」・「派生」という3つの類型に分類された。これらは、空間イメージの創造、具体化、分散の拡大というそれぞれの特性を持っていることが捉えられた。 2.空間がイメージされるときに、「視点」が「展開」によってつながる特有な構造(「視点」の軸)があることが、被験者の設計プロセスのフロー図から明らかになった。 3.「視点」の軸には、その中の任意の「視点」が分岐して新たな軸を派生させており(一次派生・二次派生)、この派生する軸によって空間のイメージの豊かさと多様さが生成されると考えられた。 4.派生関係にある「視点」が11以上ある軸は、設計の中心的な空間イメージであり、このような軸を中心に設計が進められる場合と中心的な空間イメージを持たない場合とが確認された。
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