高分子材料(PVDF)に圧電粒子(PLZT、PZT)と導電粒子(カーボンブラック:CB)を分散させた複合材料は、外部振動を圧電粒子により電気エネルギーに変換し、さらにCB粒子による導電路の抵抗によってジュール熱として散逸させることで振動を急速に制動することができる。次の主要な結果が得られた。 (1)複合材料の減衰時間は材料の導電率を変化させることによって連続的に変えることができる。 (2)最大の制振効率は特定の導電率(PVDF/PLZT/CB系の時CB体積分率6.5%)の時得られ、この時インピーダンスの整合条件を満たしている。 (3)圧電・導電効果に基づく制振効率は複合材料の弾性率の増大と共に増大する。 (4)電気・機械結合係数の大きいPVDF/PLZT/CBの方がPVDF/PZT/CB系より制振効果が大きい。 (5)複合材料の制振効率はPLZTなどの圧電粒子とCBの分散状態に依存し、圧電粒子の体積分率は50%以上が望ましい。 (6)本実験では、試料の屈曲振動モードを用いたため、圧電効果によるエネルギー変換の効率は小さい。縦振動モードなどを利用できる方法で減衰特性をさらに向上させることができよう。
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