研究概要 |
研究成果:テルペン化合物の反応系に、触媒として、光励起したPt担持TiO_2が存在すると、炭素と炭素の二重結合の水素化が高い選択率で起こることを見出した。この反応は光エネルギーが駆動し、水素化の水素源は溶媒であった。太陽光を利用して基質を改質するという省エネルギー化学反応系への発展が見込まれる。 Pt担持TiO_2光触媒反応系:市販品TiO_2(日本アエロジルP-25)粉末を用いて調製したPt担持TiO_2を、水またはエタノールに懸濁し、波長300〜400nmの光でTiO_2を励起し、室温、空気下、撹拌して反応を進めた。 リナロールの反応の結果:エタノールの系に添加したリナロールが存在率9%まで反応したとき、1,2-ジヒドロリナロールが87%生成した。光照射を続けると、リナロールは消失し、1,2-ジヒドロリナロールも消失するまで反応が進んでテトラヒドロリナロールが94%の高収率で生成した。反応の経過は、ガスクロマトグラフ(島津GC-14B)を使用して基質および生成物の、光照射時間に対する存在量を分析して観測した。水の系で重水からの重水素が付加することを確認した。水の系でもエタノールの系と同様の反応が、少し遅い反応速度で進行した。 実験に用いたテルペン化合物および類縁体:リナロール、1,2-ジヒドロリナロール、酢酸リナロール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、2-メチル-3-ブテン-2-オール、ネロリドール、4,8-ジメチル-1,7-ノナジエン-4-オール、3-メチル-1,6-ヘプタジエン-3-オール、ゲラニオール、シトロネロール、4,8-ジメチル-2,7-ノナジエン-4-オール、6-アセトキシ-3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン-3-オール、シクロヘキサノン、プレニルアセトン、シトロネラール、カルベオール、2-シクロヘキセノール、カルボン、2-シクロヘキセノン、シトラール、trans,trans-2,4-ヘプタジエナール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オールなどである。
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