研究概要 |
平成5年度の成果、水またはエタノールに白金担持酸化チタン(IV)を分散して、酸化チタン(IV)を光励起したとき、リナロール(3.7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール)が存在すると、高選択的に1,2-ジヒドロ体および1,2,6,7-テトラヒドロ体が得られたことについて、さらに反応条件を詳しく検討し、各種化合物の選択的生成にまで当水素化法を発展させる研究を行った。 酸化チタン(IV)粉末に日本アエロジル社P25(粒径約10nm、比表面積約50m^2g^<-1>、結晶組成約80%アナタ-ス、約20%ルチル)を用いた。担持白金源にヘキサクロ白金(IV)酸を使用した。水素源溶媒にエタノールを採用した。光源は500W超高圧水銀灯を使用した。 次に示すテルペンまたは関連化合物の反応でも高選択的水素化が観察された。酢酸リナロール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、2-メチル-3-ブテン-2-オール、ネロリドール(3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール)、4,8-ジメチル-1,7-ノナジエン-4-オール、3-メチル-1,6-ヘプタジエン-3-オール、ゲラニオール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール)、シトロネロール(3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール)、4,8-ジメチル-2,7-ノナジエン-4-オール-6-アセトキシ-3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン-3-オールなどである。 さらに、この水素化反応は、不飽和高級脂肪酸の水素化に利用できることをリノール酸(シス-9-シス-12-オクタデカジエン酸)を用いて明らかにした。この結果は、水素ガスを用意せずに、白金担持酸化チタン(IV)を太陽光で励起して溶媒から発生する水素で不飽和脂肪酸の水素化が可能であることを示すものである。
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