昨年度は、粒径約10nmのチタン酸バリウム粒子を絶縁油中に分散させた流体を薄膜としてこの薄膜の両側に電界を作用させると薄膜を通しての光は散乱され、電界を作用させない場合は光を透過するので電界のonとoffにより光シャッタとしての特性を示すことを報告された。今年度は、この応答時間を早くするためにチタン酸バリウム粒子とマグネタイトの磁性粒子を絶縁油中に分散させた磁性誘電流体(磁性ER流体)について主として研究した。光散乱において、電界を除去してから電界を印加する前の初期状態に戻る回復時間は、分散粒子のブラウン運動によるため、応答時間に比してかなり長い。そこで電界とは異なる方向に磁界を常時作用させた磁性誘電流体薄膜を作製した。電界で生じたチタン酸バリウム粒子のクラスターは電界を取り去った後、磁界が作用しているためマグネタイト粒子でこのクラスターを乱すことができた。応答時間はマグネタイト粒子による効果で1/4早くなった。磁性流体を添加した流体の磁化は1.2x10^<-3>Tであり、使用した磁界は30kA/mであった。また、電界が無印加の流体薄膜の磁性流体を添加することによる透過率の減少は10%以内であった。実験結果の解析に備品で購入したコンピューターを使用した。
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