本研究は、筆者が1991年から1992年に至るイタリア滞在中に収集したイタリア庭園に関する資料の整理をコンピュータを用いて行い、意匠や構造および作庭計画などの観点から各個別例の特性を抽出するとともに、日本庭園との比較検討を通じて最終的に両国の自然・文化に対する意識の相違を明らかにすることを目的としている。 各事例間の比較検討を行うためには、各庭園遺構に関わるデータをある一定の基準のもとに整理する必要があり、初年度である平成5年度には共通項目に基づく各事例の特徴抽出を行った。明確に植栽や園池、噴水などの庭園施設で装飾されたもの以外に、庭園施設が存在しなくても建物の中庭や後庭にあたる空間はすべてデータ整理の対象とした。データ整理にあたっては、作庭年代、構成要素、立地環境等の庭園そのものの比較に関わる事項をはじめ、所有、公開に関する情報、文献リスト等を抽出項目とした。また訪問した事例の写真整理も体系的に行い、観察特記事項の整理も行った。 上記の作業によって、コンピュータによる検索、比較対象を行うための基礎資料が作成されたことになる。本年度の最終段階には、図面管理に耐え得るような解像度の優れたパーソナル・コンピュータを購入して次年度の作業に備えた。
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