研究概要 |
本年度は特に本高感度法の基礎となる測定条件の詳細な検討を行った。 (a)高感度達成の基礎となる酵素サイクリング反応には、酵素反応に特徴的な非直線性が伴う。この点を理論的、実験的に明らかにするため、4-アミノフェノール(PAP)/ジアフォラーゼ(DIA)/NADH系について、PAP及びNADHの濃度効果、特にその非直線性の表われる濃度範囲について理論的考察を加え、一方、実験的にも濃度の非直線性の表われることを確認し、またその濃度範囲が理論的考察とよく対応することを確かめた。分析条件として、NADHの濃度の変動による分析結果(電流側定値)の変動の極小となる条件下、PAPの濃度に対する電流測定値の直線的変化の条件を明らかにし、PAPの10^<-10>Mまでその検出が可能なこと、さらにアルカリホスフアターゼ及びガラクトシダーゼの酵素活性の測定についての予備実験の結果、たとえば前者について10^<-7>unitの測定が可能なことが明らかになった。 (b)PAP以外に、その誘導体(4種)及び2-アミノフェノール体(2種)その他について、またDIAに代わる、PAP/グルコースオキシダーゼ/グルコース系についても検討を行なった。特に、PAPに代わる2,4-ジクロロインドフェノールについて、このものはそのその酸化体が比較的安定なことを利用して、上記非直線性の考察の基礎となる酵素反応式をあらためて実験的に確認し、本高感度法基礎をさらに確実なものにすることが出来た。得られた結果の範囲ではPAP/DIA/NADH系以上に著しく高感度が期待される系は見出されなかった。
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