グルタルアルデヒド(GA)で架橋したウサギ血清アルブミン(RSA)を抗原(pRSA)として、アジュバントを用いてウサギに注射免疫した。初めに、得られた抗血清を用いたGA架橋RSAのハプテン構造に対する酵素免疫測定(ELISA)法の開発から着手した。即ち、マイクロプレートにpRSAをコーティングし、これに段階希釈した抗血清を加えた。B/F分離後、peroxidaseで標識した抗ウサギlgG抗体を加え、インキュベートし、結合したperoxidase活性を測定した。本抗血清の力価は10^4であった。pRSAを階段希釈してコーティングし、本ELISAによるpRSAの定量を行ったところ、その最低検出限界は6ng/wellであった。RSAと同条件でGAを架橋した牛血清アルブミン(pBSA)、ヒト血清アルブミン(pHSA)を各々プレートにコーティングして、抗血清の結合能を調べたところ、これらのGA架橋タンパク質も高い結合性を示し、さらにその結合は遊離のpRSAと競合した。従って、抗血清中の抗pRSA抗体は他の動物由来のアルブミンに対するGA架橋物とも交差反応性を示すことが明らかとなった。pRSAの競合による結合の阻害率から、本抗体の親和性はpRSA=pBSA>pHSAの順であった。各種の糖をRSAと反応させたところ、フルクトースと共にRSAをインキュベートしたときに、他のグルコース、ラクトース等と比較して抗pRSA抗体の高い結合が生じた。この結果は、ある種の糖とアルブミンの間のメイラード反応により、GAと同様の架橋構造が生じる可能性を示唆するものである。
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