研究課題/領域番号 |
05806019
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
沢村 正義 高知大学, 農学部, 教授 (20038300)
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研究分担者 |
受田 浩之 高知大学, 農学部, 助教授 (60184991)
山本 晋平 高知大学, 農学部, 教授 (20036718)
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キーワード | メイラード反応 / アルブミン / グルタルアルデヒド / 分子間架橋 |
研究概要 |
グルタルアルデヒド(GA)で架橋したウサギ血清アルブミン(RSA)を抗原(pRSA)として、ウサギより得られた抗体の認識能により、生体内でGAと同様の反応生成物を生じさせ得る化合物の検索を行った。メイラード反応によりタンパク質に結合することが報告されているフルクトースが、反応の経過と共に、抗体との高い親和性を示すようになった。グルコースとRSAの反応生成物も抗体との親和性を示したが、フルクトースと比較して、親和性の出現に長い反応時間を要した。そこで、ボロネートアフィニティークロマトグラフィー並びにHMFの定量により、RSAの糖化率と抗体との親和性の相関を調べたが、糖化の程度の低いフルクトースが高い抗体親和性を有しており、糖化されるだけでは、抗体の親和性は出現しないことが明らかとなった。そこで、ゲルろ過HPLCにより、分子量と抗体親和性との関係を調べた。フルクトース反応物は糖化の程度は低いものの、糖化によりRSA分子を分子間で架橋する傾向が、グルコースと比較して顕著に高いことが明らかとなり、さらに分取した高分子量画分で、明らかにタンパク質濃度当たりの抗体親和性が高いことが示された。従って、抗体の認識能から判断して、生体内には存在していないと思われるGAと同様の反応生成物が、RSAを分子間で架橋し得る分子で生成することが初めて示唆された。同様に、アスコルビン酸もRSAとの反応により抗体との親和性が生じることを認めた。その反応も、ゲルろ過HPLCによる分画により、分子間架橋物を生成させる傾向が強いことが明らかとなった。以上の結果は、生体内メイラード反応で生じる分子架橋物が、アルブミン分子のin vivoにおける老化反応物として、B型肝炎ウイルスの感染等に関与していることを示唆するものである。
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