1.透過型砂防ダムが流水の懸濁物質(SS)濃度に及ぼす影響 岐阜県の根尾川上流に施工された砂防ダム群の中から、満砂状態である3基の透過型ダムを対象に、ダム堆砂面上での流水とダムのスクリーン部分を透過した水のSS値を計6ヶ所で定期的に測定し、SS濃度差を求めた。その結果、ダム堆砂面上での流水とダムの透過水のSS値を比較すると、7.0〜98.5%の濃度差が認められた。ダム堆砂域でのSS値が高い場合、ダム透過水のSS値の減少率は高く、約79%を示した。減少率について3基のダムを比較すると、下流のダムほど高くなる傾向を示した。ただし、流水のSS値については、ダム越流後、いったんは低下するが、その下流で再び増加する傾向がみられた。越流水によって河床堆積物が撹拌され、下流域での懸濁物質の増加につながったと推測される。 2.都市河川に施工された落差工が流水の溶存酸素(DO)濃度に及ぼす影響 岐阜県多治見市を流れる市之倉川に設置された8基の落差工を対象に、落差工の上下流でのDO濃度の差異を調べ、酸素供給に対する落差工の影響を考察した。調査の結果、緩勾配の河床区間では流入水や家庭廃水の影響を受けて、DO濃度は流下過程で徐々に減少するが、落差工の越流する際に増加することが明らかになった。ただし、増加率は8%未満であった。DO増加率は落差工の高さ及び落下部の水深によって異なり、単位幅当りの流量が0.01m^2/s以上の場合、落差2.5mで約7%と最大の値を示した。落差がそれ以上大きくなると、増加率は減少傾向を示し、落差4.4mで約0.4%となった。また落下部が「たたき」状と「プール」状の箇所を比較すると、後者ではDO増加率は0.3%程度多くなる傾向が認められた。
|