(1)OA古紙の脱インキにおよぼすリサイクル処理の影響 間接静電複写機によって印刷されたPPC古紙は、パルプ繊維に付着したトナーが脱インキ処理において脱離しにくく、残留するインキ粒子が大きいという欠点がある。そこで、パルプ繊維がリサイクル時に受ける乾湿繰り返し処理が脱インキ性におよぼす影響を、脱インキ過程における白色度変化、重量および面積脱インキ率の推移、パルプ繊維に付着・残留するトナー粒子の数およびその形状変化、パルプ繊維の表面自由エネルギーの変化から検討を行った。その結果、パルプ繊維のリサイクルは、フロテーションによる試料の白色度の増加を抑制した。また、原子吸光法によって求めた重量脱インキ率は、リサイクル処理回数の増加によって低下したが、その割合はPPC用紙試料に比べて広葉樹漂白クラフトパルプの方が大きかった。 (2)酸素アルカリ処理によるOA古紙の脱インキ トナー中のバインダー樹脂を酸素アルカリ処理によって変質させ、分離除去する方法について、ニーダーを用いた通常法と比較検討した。トナーは、酸素アルカリ処理によって脆くなり、その後ニーダー処理を行うと微細化することが判明した。しかし、70℃のような低い温度で酸素アルカリ処理を行うと、フローテーションにより効率的にトナーが除去され、洗浄後には白色度82のパルプを得ることができた。画像解析による面積脱インキ率および原子吸光法による重量脱インキ率を比較すると、70℃で酸素アルカリ処理を行った場合にいずれも高い値を示した。また、残インキ個数の測定から、酸素アルカリ処理を行うと、一般に肉眼で識別できるとされる直径60μm以上のインキ粒子が減少することが判明した。
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