研究概要 |
釣漁具の基礎的な漁獲選択性理論の研究を3年計画で行なっている。5年度は,釣針が魚の口腔に入っていく過程について分析を行ない,釣針など主要な釣漁具要素や魚の大きさと釣針の入り方との関係を求めた。 釣針は吸い込まれる水流に乗って口腔に入っていくと考え,透明パイプで作成した魚の口腔の単純化模型を用いて実験を行なった。口腔模型の水流の発生には小さな空気室の負圧を利用し,その空気室内の水位の調整によって流速と流量を設定した。実験では,現有の高速シャッター高解像度ビデオカメラレコーダを用いて釣針の動きを撮影し,録画した。実験水槽は現有の水槽施設等を使用した。新規購入した画像解析装置を使用し,録画した画像について釣針の位置,口腔模型内の流速の計測処理を行なった。 釣針の口腔への入りやすさについて,釣針の大きさに対して口腔模型の直径が大きくなるほど,釣針全体が入りやすくなった。入っていく距離は,口腔模型内の流速,流量が大きくなるほど長くなった。しかし,釣針が大きくなり,また,付属のハリスが太くなると,釣針は自由に動きにくくなって口腔模型に入りにくく,入っていく距離も短くなった。池産サクラマスを用いて同様に実験を行ない,実際に魚が釣針に食いついたときの現象を測定し,比較検討すると,口腔模型の実験と同様な結果となった。 これらの結果を統計的に分析して実験式を得た。この実験式と流体力学を基にして,最も適合する数学モデルを作成しているところである。
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