研究概要 |
2年目の6年度は,釣針が魚の口腔からでていく過程について分析を行ない,釣針など主要な釣漁具要素や魚の大きさと釣針のかかり方との関係を求めることを目的とした。 口腔に入った釣針は、魚の移動やあわせを行うことによって釣糸が引かれるため、口腔から出ていくと考え,透明パイプで作成した魚の口腔の単純化模型を作成し、その中に釣針を入れて実験を行なった。釣針を引く速度は、口腔模型を固定し、釣糸につけた浮子の浮力の大きさ及びバネの張力によって設定した。実験では,現有の高速シャッター高解像度ビデオカメラレコーダを用いて釣針の動きを撮影し,録画した。実験水槽は現有の水槽施設等を使用した。新規購入の画像圧縮伸張ボードとハードディスクを付加した現有の画像解析装置を使用し,録画した画像について釣針の位置,釣糸の引っ張り速度の計測処理を行なった。また、画像解析用ソフトウェアのアップグレードセットを新規購入した。 実験の結果、口腔模型内での釣針の動きからは、釣針の先と口腔模型との接触を判断することが難しく、釣針の移動距離と針がかりの関係を見いだすまでには至らなかった。これについては釣針と口腔との接触を明確に判断できる実験方法の再検討を行っている。 一方、前年度から懸案事項であった釣獲率に対する釣餌の大きさの影響について実験を行った。釣餌には同じ形状・大きさの餌を大量に作るため,円柱形に形抜きした練餌を使用した。餌の大きさは直径(mm)×高さ(mm)が2×3,3×3,4.5×3,5×5,6.5×5,6.5×8の6種類である。釣針には袖形7号を使用した。釣られた経験のないサクラマス稚魚全長12-13cmを1回の実験に100尾使用し,それらを容水量1.5tの実験水槽に入れた。釣手1人が釣針1本をつけた竿を使用し,順次魚を釣上げ,別の水槽にその魚を移した。実験開始から100試行までの間に釣れた尾数を釣獲尾数とし,その比を釣獲率として求めた。 この実験の結果、釣獲率は、餌が大きくても小さくても悪くなった。餌の大きさは、釣針の入りやすさと針がかりの両方に関係し、魚の大きさに対して、餌が大きすぎても小さすぎても釣針は口腔に入りにくく、また、餌が大きいほど針がかりしにくいことがわかった。
|