研究課題/領域番号 |
05806026
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 高知大学, 農学部, 助教授 (90196816)
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研究分担者 |
実吉 峯郎 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (20002339)
楠田 理一 高知大学, 農学部, 教授 (90036715)
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キーワード | ビルナウィルス / コンポーネントワクチン / カプシドタンパク質 / 遺伝子組換え / 魚病 / 海産養殖魚 |
研究概要 |
遺伝子組換え技術を用い、海産魚のビルナウィルス感染症に対するコンポーネントワクチンを創製することを目的とした基礎的研究を行い、次のような知見を得た。 まず、ウィルスのcDNAクローニングを行った。精製したウィルス粒子をプロナーゼKで消化してウィルスゲノムRNAを得た。これを逆転写によって一本鎖cDNAにし、さらにセルファニールしギャップを修復して二本鎖cDNAとした。さらに、プラスミドpUC18のPstIサイトに組み込んでライブラリーを作成した。このcDNAライブラリーを大腸菌JM107にトランスフェクトした。得られたクローンのうち、pY6-1(950bp)、pY6-2(681bp)およびpY6-3(545bp)の全塩基配列を決定した。これらのうち、pY6-2はIPNVのJasper株、N1株のカプシドタンパク質VP2遺伝子とホモロジーがあった。VP2はウィルスの抗原性決定に重要なタンパク質なので、本研究で得られたクローンはコンポーネントワクチンをデザインする上で有用な情報を提供すると考えられる。今後は、さらに抗原決定基を特定し、その部位の遺伝子を用いてコンポーネントワクチンの開発を進める予定である。 また、海産魚から分離されたビルナウィルスのカプシドタンパク質を免疫学的手法で解析したところ、供試6株で高いホモロジーが認められた。このことは、種々の海産養殖魚のビルナウィルス症はきわめて類似した抗原を持つウィルスによって起こっていることを示唆している。したがって、本研究をもとに開発されるビルナウィルスワクチンは多くの魚種に適応可能であると考えられ、海産魚の養殖に大いに貢献することが期待される。本研究の一部は 日本魚病学会、およびJ.Fish Dis.に発表された。
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