Fusobacterium necrophorum はニワトリや豚など多種の動物の赤血球を凝集した。病原性の強い菌株ほど高い凝集価を示した。本菌の凝集素には、ニワトリ赤血球に対して易熱性のものと、豚赤血球にたいして耐熱性の2種の凝集素が存在した。糖による顕著な凝集抑制は認められなった。抗血清により凝集が阻止された。ペプシンなど蛋白分解酵素により凝集が阻止されることなどから、凝集素は蛋白であろうと推定された。 本菌は牛血小板を凝集し、病原性の強い菌株ほどよく凝集した。凝集の菌体成分はLPSであった。本菌の集落はRough型であるが、他の細菌と異なり、LPSはS型LPSであった。マウス肝細胞に傷害を与えた。病原性の強い株ほど傷害が大きかった。 本菌は溶血素を産生して、ウマ、ウサギ、ニワトリなど多種の動物の赤血球を溶解した。溶血素は本菌の病毒因子と考えられることから、純化を試み、いくつかの性状を調べた。まだ完全には純化されていないが、本菌の溶血素はリバーゼやノイラミニダーゼの影響をうけないが、トリプシンやその他の蛋白分解酵素により、また、56℃、30分の加熱で失活した。Vero細胞を破壊した。 食細胞内での殺菌に抵抗する細菌の産生する酵素を調べた。嫌気性菌にはあまり例のないSODを産出し、しかも病原性の強い菌株ほどよく産生した。 本菌は食細胞にもよく付着し、貧食された。病原性の強い株ほど付着能が強く、よく含食されたが、細胞内での生存期間が長かった。 マウス感染実験では、抗体価は上昇したが、フットパット反応は陰性で、本菌感染には液性免疫が関与していることが判明した。また、予め肝臓毒を接種すると、肝膿瘍形成時期がはやくなり、膿瘍形成率も高くなったことから、マウスにおける肝膿瘍形成には肝臓側の要因も重要な因子であることが示唆された。
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