研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)の超微形態を明らかにすることを目的とした。HCV抗体陽性・HBs抗原陰性・GPT高値供血者血漿13検体から、RT-PCR法を用いてHCV GenotypeII(Okamotoらの方法)でありウイルス量4x10^7copy/ml以上の2検体を選び、この検体を1000倍に濃縮後、蔗糖密度勾配遠心法にて密度別に分画した。各分画のウイルス量を定量し、HCV-RNA量10^8copy/ml以上の浮上密度1.14〜1.16g/mlの分画をHCV材料として用いた。一次抗体としてHCV(GenotypeII)のEnvelopeに特異的なウサギポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体(4種類)を用いた。免疫前の正常ウサギ血清、抗Listerウサギ血清(ワクチニア)と抗ヒト血液型A抗原モノクローナル抗体を対照に用いた。二次抗体にはヤギ抗ウサギIgGおよびプロテインA金コロイド(5nm)を用いた。Murtiらの方法(1986年,Virology)を応用した金コロイド免疫電顕法を行った。上記2検体の密度1.14〜1.16g/mlの分画中に抗HCV-Env抗体(ウサギ)と特異的に反応する直径55〜65nmの球形粒子を確認した。これらの球形粒子はモノクローナル抗体とも特異的に反応した。これらの粒子は長さ7nmの繊細なスパイク構造を有していた。HCV-Env抗体と反応し、スパイク構造を有する直径約60nmの球形粒子はHCV粒子と考えられた。この内容は、The Journal of General Virologyに投稿し、acceptされました。今後、透過電子顕微鏡下にHCV粒子を観察する予定です。
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