研究概要 |
研究代表者は、まず成人T細胞白血病(ATL)患者末梢血腫瘍細胞のmRNAをGTC法に抽出し、逆転写酵素でcDNAを作成し、ヒトLECAM-IをPCR法で増幅して、LECAM-Iのprobeを得た。このprobeを用い、slot blot hybridizationで消化管に病変を持つATL患者末梢血腫瘍細胞のmRNAの発現を検討した。この結果消化器病変を合併したATLでは接着因子LECAM-Iの発現が見られたが、消化器合併症の無い症例の末梢腫瘍細胞ではLECAM-Iの発現は極くわずかの症例しかみられなかつた。以上の結果を研究発表に掲げた「消化管粘膜病変を伴うATLの接着分子の発現ホーミングレセプターの解析-」に論文として発表した。 次に、C型慢性肝炎患者の肝組織のHCV virus RNAの存在とHoming receptorの発現とを確認するためにnon-RI labelled probe(HCV antisense,sense probeおよびLECAM-I 5'prime site-probe)を用いin situ hybridizationを行い、肝細胞および炎症細胞(リンパ球)を観察した。この結果、炎症部位とくにグリソン鞘周囲の肝細胞細胞質にHCVの局在が見られ、集簇したリンパ球に於いてはHCVのantisense strandの存在とLECAM-Iの発現が確認された。これらの結果を「in situ hybridization for the detection of HCV the expression of LECAM-I in chronic active hepatitis」と題する論文に発表予定である。 本年度の研究結果を踏まえ、慢性肝炎を代表とする消化器炎症疾患においてウイルス感染とリンパ球ホーミングレセプターの発現の観点から現在in situ PCRにより「非B非C型慢性肝炎ウイルスのクローニング」との研究を発展させ継続中である。
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