研究概要 |
遺伝的相補性テストによってA群と同定された46例のうち41例(89%)が、AlwNlを用いたPCR-RFLPで検出可能なイントロン3のスプライシング変異のホモ接合体であり、この患者の多くは、UDSが5%以下で、皮膚神経症状ともに重症で皮膚癌発生も早い典型的なA群と考えられた。1例がHphlを用いたPCR-RFLPで検出可能なエクソン6のナンセンス突然変異でこのホモ接合体の症例は皮膚癌の初発は24歳で、神経学的にも症状は軽いようであった。突然変異の箇所が異なると、臨床症状にも差があることが示唆された。2例においてイントロン3のスプライス変異とエクソン6のナンセンス変異の複合ヘテロ接合体、1例が、イントロン3のスプライス変異とエクソン3のナンセンス変異であった。残りの1例はイントロン3とスプライス変異と未知の突然変異をもつことが示唆されたので、PCR-SSCP法でスクリーニングし、塩基配列を決定した結果、エクソン5の最後の塩基がG-Cへ変異をおこしていることが見いだされた。以上、日本のXPA群おいては、イントロン3のスプライシングのホモ接合体が非常に多く、XPA群を疑った場合、スクリーニングとして、AlwNl-PCR-RFLPを行うことによって90%近くの症例で確定診断を行うことができること、それ以外の変異が疑われた場合にも、HphI,MseI及び、今回、新たに見つけられたMaeIIを用いたPCR-RFLPも組み合わせることによって、99%近くの症例で遺伝子診断を行うことができることが明らかになった。また、未知の変異が疑われた場合、PCR-SSCPを用いたスクリーニングが有用である。次に、チュニジアのXPA群7例についてXPA遺伝子の変異箇所を調べたところ、7例中6例(86%)が、HphIで検出可能な、エクソン6のナンセンス突然変異のホモ接合体であった。これらの症例の多くは、20歳前後に皮膚癌を初発しており、日本の症例においても、HphIで検出可能な、エクソン6のナンセンス変異のホモ接合体は症状が軽かったことと合致する所見である。XPA遺伝子の変異に少なくとも二地域で、創始者効果がみられ、たことよりこの遺伝子が比較的安定で、極めて稀に突然変異が起こり、それが、ある地域で集積している可能性が、考えられた。
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