研究概要 |
皮膚、腸管、肺における上皮と血液細胞とくに好酸球との関連について検討することを目的としてのサイトカインの発現に関する検討を行った。はじめにこれら組織よりサイトカインをタンパクレベルで測定する事が困難と考え、RT-PCR法(revesed transcriptase polymerase chain reaction)法を用いる事とした.最初に検討したのは皮膚、腸管、肺胞洗浄液でのサイトカインのμRNAの発現を見る為にRNAが取れるかという点であった.結論的には皮膚に関しては2mmパンチ生検組織から又腸管では大腸ファイバーでの生検組織1mmパンチ2個あるいは肺胞洗浄液10mlでもmRNAが安定して取り出す事が出来る様になった.この事は今後の更なる検討に有用と考えている.又単に定性的に検討するだけでは不十分と考え、定量性を持たせる為に、サイトカインのcDNAよりmutantDNAを作成し、これをRNA発現ベクスターに組み込みmutantRNAを作成、更にこれと同時に測定に必要なサンプルのRNAを加え、RT-PCRを同一チューブ内でp32を用いて実施し、これを元にして、電気泳動でサイズを決定しイメージスキャナで取り込み、定量化して較べた.この方法を用いると、μRNAをRT-PCRのレベルでも定量出来ると考えられる.今回の測定に関してサイトカインとしてTNTα、IL-8を用いた.好酸球の検討に際して上皮との関連を検討するとの観点から、2つの疾患を選んだ。対象として尋常性乾癖とアトピー性皮膚炎を用いた.アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患として多様な病態を示すと考えられ好酸球との関りが重要視され,又尋常性乾癖はその病態として上皮の異常が指摘されている.アトピー性皮膚炎成人型では重症例では腸管でも慢性大腸炎を示している事が明らかになり,さらにRANTESがいずれの組織においても検出される事が明らかとなった.この事は好酸球の出現にSALT,GALT,BALTのうち少くともSALT,GALTがケモカインを介して関連している可能性を示している.
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