研究課題/領域番号 |
05807081
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中村 敬 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40198205)
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研究分担者 |
SOLYOM Lesli ブリティッシュ, コロンビア大学・医学部, 元臨床教授
三宅 由子 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (60157617)
橋本 和幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30221493)
北西 憲二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (30057020)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 社会恐怖 / 対人恐怖症 / 大うつ病 / 恐怖性障害 / 回避性人格障害 / 社会不安 / 赤面恐怖 / 視線恐怖 |
研究概要 |
DSM-III-Rにもとづき日本群20例およびカナダ群21例の社会恐怖症例を抽出し、同一の質問紙バッテリ-を用いて比較研究を行い、以下の結果を得た。 1.日本群に比べカナダ群では他のI軸診断を伴う症例が多く、特に大うつ病および恐慌性障害の合併が多く見られた。 2.SCL-90-R Symptom Checklistでは、両群とも「強迫」「対人過敏症」「抑うつ」「不安」カテゴリーの得点値が高く、全体として近似したプロフィールを示したが、「身体化」「その他」の2つのカテゴリーについてはカナダ群が有意に高い値を呈した。 3.Social Avoidance and Distress Scale(SAD)およびFear or Negative Evaluation(FNE)については、いずれも両国間に総得点値で多きな開きは見られなかった。SADからはカナダ群が日本群より対人状況への回避行動をとりやすい傾向にあることが見出され、またFNEからは日本群が他者からの情緒的受容-拒絶により敏感であることが窺われた。 4.Sheehan's Disability Scaleにおいて、日本群はカナダ群より仕事に対して深刻な影響を被っていることが示された。 5.対人恐怖症・症状および賦活状況質問紙においては、カナダ群にも多数の対人恐怖症状が認められた。カナダ群は日本群より赤面恐怖、声のふるえに対する恐怖症状が有意に多く、逆に日本群は対人緊張感および横視野恐怖症状がより高率に認められた。また賦活状況については、両群とも大集団・異性・同年輩・半見知りの相手の前で症状が憎悪することで共通していたが、日本群には横並びの関係を恐れる傾向がより尖鋭に認められた。 6.以上の結果に症候学的、比較分化精神医学的観点から若干の考察を加え、また本研究の方法論的な問題点と今後の研究の方向性について論じた。
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