研究課題/領域番号 |
05807086
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
越智 幸男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90079773)
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研究分担者 |
乾 武広 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20213134)
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キーワード | TSHレセプター / TSHレセプター抗体 / 阻害性TSH受容体抗体 / 甲状腺細胞膜 / モルモット脂肪膜 / ProteinL |
研究概要 |
阻害性抗体(TSBAb)の甲状腺細胞膜におよぼす影響について検討した。 (1)TSBAbがTSHレセプター(R)に直接作用するか否かについて、TSBAbをブタ甲状腺細胞膜またはモルモット副睾丸脂肪膜での吸収実験で検討した。ブタ甲状腺細胞膜やモルモット副睾丸脂肪膜で吸収するとTSHRアッセイ法での標識TSHのTSHRへの結合抑制活性(TSH binding inhibition;TBI)は消失した。しかし、TSBAbはブタ甲状腺細胞膜で吸収されるが、モルモット副睾丸脂肪膜で吸収されない場合があるので、TSBAbはTSHR以外の部位へ作用している可能性が示唆された。また、単離ブタ甲状腺細胞膜にてフォルスコリン、GTPγS、NaFなどのcAMP増加作用をTSBAbは抑制しなかったので、post receptorでの作用はないと推定した。 (2)TSBAbはTSHR抗体(TRAb)が陰性例でも陽性例を示す症例のあることから、動物で検討した。可溶化甲状腺細胞膜でウサギを免疫し、細胞膜抗体を作成した場合、TRAbは陰性であるが、TSBAb活性は陽性を示した。人間の場合でもTRAb陰性例でのTSBAbは同様の機序で惹起される可能性が示唆された。 (3)TSBAb陽性血清からproteinA法でIgGを単離した。このIgGをパパインまたはペプシンで加水分解をしたのち、ProteinA-セファローズに未結合分画と結合分画に分けた。未結合分画をSephadex G-100にて分画した場合、パパイン処理の場合にはMr5万のFab分画とさらに小分子分画(Mr2〜3万)のところに甲状腺刺激活性(ブタ甲状腺でのcAMP増量で測定が認められた。また、IgGをProteinL(κ鎖と特異的に反応する)-セファローズにて未結合分画(IgG(λ))と結合型分画(IgG(κ))に分画した。TSBAbはポリクロナール抗体であることを見出した。TSBAbはほとんどがポリクローナル抗体であり、プロテアーゼ処理によって甲状腺刺激活性が出現することを見出した。
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