1.ヒトvasoactive intestinal peptide(VIP遺伝子の5'上流域を大腸菌のベータガラクトシダーゼ遺伝子につないだキメラ遺伝子をラット褐色細胞腫細胞PC12に導入した細胞(PCVG細胞)を用いて外来性受容体の検出が可能か否かを検討した。すでに単離されたヒト黄体形成ホルモン受容体(LHR)のcDNAを発現ベクターに組み込み、このプラスミド(pCDMV2AHLHR)をPC12-VG細胞にトランスフェクションした。この細胞をヒト絨毛性ゴナドトロピンで刺激すると、ベータガラクトシダーゼ活性の発現をX-gal染色により検出することができた。絨毛性ゴナドトロピン非刺激時にはベータガラクトシダーゼ陽性細胞は認められなかった。このように、PC12-VG細胞を用いた検出系で外来性のLHRcDNAを検出できることが明らかになった。その検出感度は100ngcDNA/10cm plateであった。 2.PC12細胞における内因性のVIP遺伝子発現をnorthern blot法により解析した。その結果、PC12細胞でもforskolin刺激によりVIPmRNAが出現し、そのmRNA量はTPAの同時刺激によりさらに増加することが明らかになった。このmRNAはそのcDNAの分子クローニングおよび塩基配列決定により、確実にVIPmRNAであることを確認した。さらにforskolinとTPAで刺激すると培養液中にVIPが放出されることを明らかにした。またVIPによりPC12細胞を刺激するとVIPmRNAが出現し、このVIPによるVIPmRNAの誘導はTPAによる同時刺激によりさらに増強された。VIPによるVIPプロモータからの遺伝子発現をベータガラクトシダーゼのキメラ遺伝子発現でみると、その50%有効濃度は70nMであった。
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