研究課題/領域番号 |
05807088
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山崎 義光 大阪大学, 医学部, 助手 (40201834)
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研究分担者 |
柴 雄一 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
梶本 佳孝 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | 遺伝子多型性 / 転写調節 / インスリン遺伝子 / IPF1 |
研究概要 |
膵β細胞におけるインスリン遺伝子発現制御に関与する2つの転写因子IEF1およびIPF1は、それらの異常が糖尿病患者の多くに認められるインスリン生合成、分泌の不足に直接関与する可能性があり、臨床的に極めて興味深い。我々は、最近、転写因子IEF1の構成蛋白であるA1/kA1を単離、解析し、これらの蛋白の中で生理的に特に重要とされるleucine zipper motif部位に1アミノ酸(glutamine)の欠失を認めた。当該粘度は、このA1の多型性と、もうひとつの転写因子IPF1の生理的・病態生理学的意義に関して以下のような知見を得た。 1)A1多型性: library screeningによるcloningに成功したfull-length A1 cDNAはglutamine挿入型であったので、さらにこのcDNAと我々がPCRで部分cDNAを単離していたglutamine欠失型cDNAとのキメラを作成し、glutamine挿入型および欠失型の両方のfull length cDNAを得た。この各々をSV40のpromoterを有する高度発現ベクターに組み込み、さらにCHO細胞にtransientに遺伝子導入して細胞内で各タイプのA1を過剰発現させた。この細胞より核抽出物を得てIEF1の結合領域であるヒト・インスリン遺伝子のhInsE1領域をプローブとしたgel-shift解析を行ったところ、glutamine挿入型・欠失型とも同程度の量のDNA-蛋白複合体を認めた。また、インスリン遺伝子promoter活性に対する影響でも両者に差を認めなかった。 2)IPF1 : HIT細胞を用いた実験系により、IPF1はグルコキナーゼ遺伝子プロモーターの膵β細胞特異性獲得にprimaryな役割を果たすことが示された。また、IPF1は単独ではグルコース応答性のIns遺伝子転写活性化を媒介し得ないことも併せて明らかとなった。 一方、グルカゴン産生細胞でIEF1の存在が確認されているαTC1細胞にIPF1をstableに発現させたところ、IAPP遺伝子の発現だけが誘導されたが、インスリンおよびグルコキナーゼ遺伝子は誘導されず、両遺伝子の発現には何らかの(IEF1およびIPF1以外の)別の因子が必要であることが明らかとなった。
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