研究概要 |
1.糖タンパクホルモンのアミノ酸配列と機能:天然糖タンパクホルモンbeta鎖のCys(C)-Ala(A)-Gly(G)-Tyr(Y)-Cys(C)領域におけるアミノ酸配列のデータベースから検索した結果、ほとんど相同性があるが、ラットFSHでC-Glu(E)-G-Y-C,Chumサケゴナドトロピン(Gn)でC-A-G-Leu(L)-C,Chinookサケ及びウサギGnでC-Ser(S)-G-His(H)-Cの変異がみられた。また先天性TSH単独欠損症のTSHbeta鎖ではC-A-Arg(R)-Y-Cの変異がある。site directed mutagenesisではヒト(h)TSHbeta鎖でC-A-R-Y-Cの変異で活性を失い、hCGbeta鎖では、C-A-R-Y-CやC-A-Asp(D)-Y-Cで活性を失うが、C-D-G-Y-Cでは失わないというデータから総合的にC-X-G-X-Cモチーフが重要であることが分かった。 2.C-X-G-Cモチーフの検索:上記以外のC-X-G-X-Cモチーフを検索した結果、commonalpha鎖にCys(C)-Met(M)-Gly(G)-Cys(C)-Cys(C)という配列が見出され、種間でも保存されていることが分かった。 3.alpha鎖CMGCC領域のsite directed mutagenesis:正常hCGbeta鎖のmRMAと、種々の変異alpha鎖mRNAをXenopus oocyteにmicroinjectionし、得られた変異hCGの免疫活性と生物活性を調べた。その結果、いずれも免疫活性は保たれていた。生物活性は、Tyr(Y)-M-G-C-C,C-M-R-C-C,C-M-A-C-C,C-M-D-C-Cではいずれも消失し、C-R-G-C-Cでは保たれていた。 以上、天然及び変異糖タンパクホルモンのアミノ酸配列とsite directed mudtagenesisの実験から、alpha鎖のC-M-G-C-Cとbeta鎖のC-A-G-Y-C領域におけるC-X-G-X-Cモチーフの重要性が明らかにされ、高次構造予測のアルゴリズムを構築するための基礎データが得られた。
|