研究概要 |
申請者らがPre-B細胞株NALM-6よりRT-PCR法を用いて新しくクローニングした2つの細胞質型PTP(LC-PTP及びSH-PTP3)遺伝子の構造異常と癌化との関連性及び機能解析を目的として以下の研究を行なった。 1.SH-PTP3の染色体マッピング:SH-PTP3 cDNAプローブを用きてSH-PTP3遺伝子のゲノムDNAをクローニングした。これを用いてSH-PTP3遺伝子の染色体位置を決定した。ヒトSH-PTP3遺伝子は染色体12q24.1にマップされた。(Oncogene,in press富山医科薬科大学 磯部正治博士との共同研究)この部位は慢性リンパ性白血病、胚細胞腫瘍、平滑筋腫などにおいて異常をおこすことが知られており、これらの病態との関連性を検索してゆく。 2.LC-PTPはearly response geneである:LC-PTPの機能解析する上で、LC-PTPが細胞増殖のいかなる時期に働くかを知ることは有益な情報となる。LC-PTP遺伝子が、T細胞において高い発現を認めたことから(Biochem.Biophys.Res.Commun.,186:1607,1992)IL-2刺激後のLC-PTP遺伝子発現の誘導を検索した。その結果、IL-2刺激後、6-8時間で、ピークとなるLC-PTP mRNA発現の誘導を認めた。この発現は、蛋白質合成を必要とせず、また転写活性の上昇が主な機序であろうと考えられた。同時に正常T細胞においても抗CD3抗体による活性化後、IL-2レセプターが発現した状態において、同様の誘導がおこることが判明した。以上のことからLC-PTPはearly response geneと考えられた。(FEBS Lett.,338:47,1994)
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