研究概要 |
1.LC-PTP遺伝子の構造解析 LC-PTP遺伝子が癌化といかなる関連性を持つかを明らかにするために遺伝子の構造を解析した。LC-PTP遺伝子は,11個のエクソンからなり複雑なエクソン-イントロン構造を有することを明らかにした(Oncegene 9,3031-3035,1994)。この研究によってLC-PTP遺伝子のゲノムプローブを得たためにゲノム近傍の構造異常を解析できるようになった。さらにPCRによって容易にLC-PTP遺伝子のゲノムDNAがクローニングできるようになったために点突然変異が解析できるようになった。現在,これらの解析が進行中である。 2.SH-PTP2蛋白の発現解析 SH-PTP2蛋白をSH-PTP2cDNAをバクテリア発現ベクターに組み込み,大量に精製した。これを用いてポリクローナル抗体を作製し,SH-PTP2蛋白のラット各臓器における発現レベルを解析した。その結果 SH-PTP2蛋白は,全身に発現しているが,特に血管平滑筋に多く発現していることが明らかになった(投稿中)。現在,血管平滑筋におけるSH-PTP2蛋白の機能を解析中である。 3.シグナル蛋白とPTP蛋白との相互作用の検索 SH-PTP2蛋白と物理的会合する蛋白を前川博士(滋賀医大)との共同研究によって解析した。その結果,SH-PTP2蛋白は,インスリンレセプターと結合し,リン酸化され,SH-PTP2蛋白の酵素活性が調節されていることが判明した(Biochem.Biophys.Res.Commun.199,780-785,1994)。
|