研究概要 |
〔方法〕健常妊婦60例,コントロールとして非妊婦10例,男性10例より同意の上2ml採血し、Percoll不連続密度勾配比重遠心法により各層血球を分離,洗浄後、それぞれの沈渣よりPappenheim染色標本を作製、鏡検し、有核赤血球の有無を調べ、micromanipulatorにより有核赤血球の回収を試みた。また胎児から母体への血液移行量を概算した。〔成績〕1.コントロール血中より有核赤血球は発見されなかった。2.妊婦血中より有核赤血球は高率に発見された。妊娠8〜23週以降(33/39例=85%),妊娠4〜7週,24週以降(0/21)。3.Percoll密度1.075/1.085g/mlの界面より有核赤血球が分離された。4.標本上の有核赤血球の剥離,回収がmicromanipulatorの使用により可能であった。5.妊娠8〜23週の胎児から母体への血液移行量は0.1〜100mulと概算された。 今後の課題として、有核赤血球の回収率を高くすること、現在の一検体処理にかかる時間を短縮すること、回収された有核赤血球からより臨床的に有用な多くのDNA情報が得られるようにすることが挙げられる。
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