研究課題/領域番号 |
05807102
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 雅史 旭川医科大学, 医学部・第一外科, 講師 (70151587)
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研究分担者 |
笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部・第一外科, 助教授 (20109515)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 血行再建 / 吻合部内膜肥厚 / 遺伝子治療 / レトロウイルスベクター / LacZ遺伝子 / ePTFE / compositeグラフト |
研究概要 |
1.血管内皮細胞に対する遺伝子導入の基礎検討:In Vivoにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入は、その条件、導入遺伝子の安定性・長期発現の面から問題がある。この意味からレトロウイルスベクターを利用した血管内皮細胞への遺伝子導入の可能性、至適条件および導入後の細胞におけるPhenotypeの変化を検討した。LacZ遺伝子を含むMFGLacZベクターを用いたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)へのLacZ遺伝子導入により、以下の知見が得られた。1)ベクターのtiterは10^6-10^7/ml濃度が常に維持される必要がある。2)DEAE-dextran法(16μg/ml)を用い2回/日 5時間/回のLacZ細胞培養液の暴露をHUVECへの遺伝子導入の基本的なプロトコールとした。その結果、導入率(efficiency)は、2回の導入では15〜20%であったが、4回または6回と細胞がconfluentになるごとに繰り返し導入することで50〜55%まで向上し得る。3)LacZ遺伝子導入後のHUVEC増殖は、同一継代(Passage)細胞の比較では、全く処理を施していないコントロールやpackaging細胞(ψCRIP)の培養液を暴露したHUVECの増殖と差はなかった。 2.内膜肥厚(IH)抑制モデルの基礎検討:IH防止を目的とした外科的処置として人工血管(ePTFE)と自家静脈compositeグラフトの静脈側にglutaraldehyde(GA)架橋処理を施した再建法を考案し、雑犬の頸動静脈間にバイパスを行った。その結果、1)移植後3カ月では、GA固定部の内皮細胞被覆、抗血栓症は良好で拡張性変化等を認めなかった。2)ePTFE内面の新生内膜形成は充分ではなく、連結部とGA固定・非固定境界部に軽度のIHが認められた。3)さらに連結部組織侵入を抑制する目的で施行したePTFE片による被覆例では、被覆に一致したePTFE内面にフィブリン血栓が存在した。In vivoへの遺伝子導入の今後の展開およびIH対策法への応用により、さらなる進歩が期待されるものと考える。
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