ラット虚血肝モデルおよびマウスエンドトキシンショックモデルを作成し、抗細胞間接着分子モノクローナル抗体投与が有効かどうかを調べた。虚血90分後の肝組織では白血球は24時間目でpeakとなった。組織ICAM-1の発現も血流再開後2-4時間後より認められ、6.12時間と増加した。この増加はImmuno-precipitcte法により定量的に増加することが確認された。また、抗接着分子モノクロナール抗体投与は白血球の集積が増加する血清再開後6.12時間目の過酸化脂質生成を抑制し、肝エネルギー代謝を改善し、虚血肝細胞障害に有効であることが明らかとなった。また、マウスエンドトキシンショック肝障害モデルでもモノクロナール抗体投与は過酸化脂質生成を抑制し、対照群マウス生存率30%を60%まで増加させた。以上の結果、虚血およびエンドトキシンによる肝細胞障害に白血球が関与していることおよび、接着分子抗体が示唆された。今後、大動物を用いた実験について検討したい。
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