平成6年度中には、LAK細胞による膜結合性リンフォトキシン(mLT)を介した腫瘍細胞障害活性を、主としてクロミウム標識法を用いて検討した。その結果、mLTがサイトカイン依存性の細胞障害活性に関わっているばかりでなく、短時間内のクロミウム放出法で示される、いわゆる腫瘍細胞障害活性にも直接関わっていることが明らかとなった。さらに、分泌型LTあるいはLAK細胞の分泌する液性因子はそれらの作用はもたらさないことより、この作用が膜抗原によるものであることも明らかとなった。また、mLTがTNFレセプター以外のレセプターを介して腫瘍細胞障害活性を発揮することも明らかとなった。この結果は、mLTが分泌型のLTそのものと、LTと高いホモロジーを有する新たに見いだされた膜蛋白LT-βとの複合体として存在し、しかもLT-βはTNFレセプターではなくTNFレセプター・ファミリーに属するLT-β特異性レセプターと結合することが発表されたのと時を同じくして、それを証明することにもなった。私はさらに研究をすすめ、腫瘍細胞を障害する際に重要な役割を果たしている、標的腫瘍細胞上に存在する細胞接着因子ICAM-1の発現性をmLT陽性のLAK細胞が増強させ、さらにそれがLAK細胞の分泌する液性の因子ではなく、LAK細胞の膜表面上に存在する物質によるものによって媒介されていることも明らかになった。この作用はmLTを発現していないLAK細胞には認めなかったが、mLTによる直接の作用ではないことも判明した。今後このICAM-1増強作用をもたらすLAK細胞のmLT関連膜抗原の解明が重要と思われた。
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