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1995 年度 実績報告書

移植自家静脈グラフトの内膜増殖に及ぼすShear Stressの影響

研究課題

研究課題/領域番号 05807107
研究機関九州大学

研究代表者

古森 公浩  九州大学, 医学部, 講師 (40225587)

研究分担者 隈 宗晴  九州大学, 医学部, 医員
川崎 勝巳  九州大学, 医学部, 医員
キーワード静脈グラフト / 内膜肥厚 / プロスタサイクリン / nitric oxide / eicosapentanoic acid / 異常血流
研究概要

血行再建術後のグラフト晩期閉塞の主要因は吻合部膜肥厚であり、我々は、いままでに末梢run-off不良条件下(low flow shear stress)では、移植自家静脈内膜肥厚が増強することを臨床的及び実験的に報告してきた。しかしながら、移植自家静脈内膜肥厚の機序、及びその予防については未だに確立されていないのが現状である。血管内皮細胞はNitric Oxide (NO)を放出し、血管の収縮弛緩反応の調節及び血小板凝集を抑制するという重要な生理学的役割が知られておりNOと様々な病態との関連が報告されている。一方、移植自家静脈グラフト血管内皮細胞におけるNOの作用及び内膜肥厚との関連については、よくしられていない。そこで、NOの作用について、以下の点に注目して移植自家静脈グラフトを用いて検討した。
1) NO産性能に対する血流条件の影響
犬後肢に末梢run-off不良のモデルを作成後、正常血流群、異常血流群の大腿動脈で比較すると、ADPの内皮依存性弛緩反応が異常血流群で障害されていた。次に自家静脈を移植し正常血流群と異常血流群で比較すると、内膜肥厚の著明な異常血流群では、内皮依存性弛緩反応が正常血流群より有意に障害されていた。自家静脈内膜肥厚の著明な異常血流群では、さらに内皮機能が障害されていることが明らかになった。
2)術式別の比較
自家静脈グラフトの手術術式としてin-situグラフト(I群)とreversedグラフト(R群)がよく用いられるが、術式による自家静脈内皮機能の詳細な検討はこれまでにない。I群では、AChやADPにより内皮依存性弛緩反応がみられるのに対し、R群ではAChにより内皮非依存性収縮反応がみられ、またADPによる内皮依存性弛緩反応は有意に障害されていた。以上より、術式別に比較するとin-situグラフトの方が内皮のNO産生機能が保たれていることが明らかになった。
3) EPAの自家静脈内膜肥厚及び内皮機能に及ぼす効果
EPA投与群は犬自家静脈内膜肥厚を有意に抑制し、ADPの内皮依存性弛緩反応を有意に増強した。平滑筋の特性の変化はみられなかった為、内皮細胞よりNOの産性増強と内膜肥厚抑制との関連が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Komori K., et al.: "Endothelium-dependent relaxation in response to adenosine diphosphate is impaired under poor runoff conditions in the canine femoral arterv" J Surg Res. 58. 302-306 (1995)

  • [文献書誌] Komori K., et al.: "Eicosapentanoic acid reduces the intimal thickening of autogenous vein grafts and enhances endothelium-derived relaxing factor" J Surg Res. 59. 344-346 (1995)

  • [文献書誌] Odasiro T., et al.: "Comparison of endothelial function between in situ and reversed vein graft : Differences in endothelium-dependent responses" Surgery. 117. 179-188 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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