研究概要 |
1)ヒトおよびマウスc-erbB2遺伝子をBALB/c由来のMCA誘発線維肉腫CMS7およびCMS17に導入しCTLの誘導を試みたところ、ヒトc-erbB2遺伝子CMS17で同系マウスを感作することによりCMS17およびCMS17neo遺伝子導入細胞に比べ、ヒトc-erbB2発現CMS7に対し明らかな増殖抑制が認められた。ヒトc-erbB2導入細胞によるin vivoおよびin vitro感作で得たリンパ球は、c-erbB2遺伝子導入細胞に対して特異的細胞障害性を示し、そのCTLはCD3^+,CD8^+,TCRαβ^+でH-2K^d拘束性であった。 2)K^d親和性アンカーモチーフを有するヒトc-erbB2由来ペプチドを作成し、これらをパルスしたDBA/2由来P_1HTR(H-2^d)に対する細胞障害性を1)で得られたCTLについて検討した。その結果、2つの9merペプチドに対して反応性が得られた。その1つのペプチドCP811-1ではヒトとマウスでアミノ酸1つに相違が認められるが、これをヒト型CP811-1(T)からマウス型CP811-1(A)へ置換したペプチドに対しても反応性を示した。もう一つのペプチドCP811-5はヒトとマウスで同じ配列であった。 3)c-erbB2由来ペプチドCP811-1(T)、CP811-1(A)、CP811-5を各々BALB/cの脾細胞のにパルスし、これらの感作して得られたリンパ球はヒトおよびマウスc-erbB2遺伝子導入細胞に対して特異的細胞障害性を示した。 4)c-erbB2由来ペプチドCP811-1(A)、CP811-5でBALB/cマウスを免疫したところマウスc-erbB2遺伝子を導入した腫瘍細胞の増殖を抑制する傾向が認められた。
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