研究概要 |
本年度はTNFとfibrin gelの混合製剤(TNF・fibrin gel)のTNF徐放性について検討した。 1)in vitroでの検討 TNF(PT-050,大日本製薬) 20万JRUとfibrinogen 16mgをaprotinin溶液0.2mlに溶解し、24穴マルチプレート内でthrombin溶液0.05mlと混和しwell内でgel化させた。各wellに燐酸緩衝液(PBS)1.25mlを加えて、経時的,経日的にPBSを採取しPBS中のTNF濃度を抗ヒトTNF-alphaモノクローナル抗体を用いたEnzyme-Linked Immuno-Sorbant Assayにより測定した。この結果、PBS中のTNF濃度(ng/ml)は30分後=3.4,1時間後=8.4,2時間後=8.9,6時間後=9.5,24時間後=11.2,2日目=10.6,5日目=7.0,7日目=2.2,14日目=0.2でありその徐放性が確認された。 2)in vivoでの検討 6週齢BALB/cマウス背部皮下に1×10^6個の同系大腸癌細胞株colon26を移植し移植腫瘍内にTNF 5万JRUとfibrinogen 16mgをaprotinin溶液0.2mlに溶解したものを投与し、さらに同部位にthrombin溶液0.05mlを投与して局所でgel化させた。投与後、経日的に腫瘍を摘出し、抗ヒトTNF-alphaポリクローナル抗体を1次抗体とした免疫組織化学染色を施し、腫瘍局所おけるTNFの停滞性を検討した。その結果TNFはTNF・fibrin gel投与後、約1週間にわたって腫瘍組織中に認められた。以上の結果よりTNFとfibrin gelの混合製剤はin vivo,in vitroともにTNFの徐放性を有することが確認された。
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