研究概要 |
TNFとfibrin gelの混合製剤はTNF20万JRUとfibrin gelを混合gel化させ燐酸緩衝液(PBS)中に静置するというin vitroの実験系において,PBS中で約1週間にわたり徐法効果を有することがEnzyme-Linked Immuno-Sorbant Assay法による解析で確認され、in vivoでもBALB/cマウスの皮下移植腫瘍内(同系大腸癌細胞株colon26)で同様に1週間停滞することが腫瘍組織の抗TNFポリクローナル抗体を一次抗体とした免疫組織染色により確認された。その抗腫瘍効果も著しくTNF5万JRUとfibrin gelを混合してマウス皮下移植腫瘍に投与した場合57%で腫瘍は完全に消失した。副作用発現の指標として体重減少の程度を経日的に観察したが混合製剤を投与したものでは同量のTNFを単独で投与したものに比較し体重減少は明らかでなかった。 TNFとlipiodolの混合製剤はBALB/cマウスに経門脈的にcolon26を投与し作製した肝転移モデルを用いた in vivoの実験系で系門脈的投与により肝転移腫瘍を中心とした肝臓内にTNFは約2週間にわたり停滞することが確認された。またその抗腫瘍効果も著明でありTNFを単独投与したものと比較し薬剤投与後2週間における肝転移結節数は混合製剤を投与したもので有意に少なく(肝表面結節数:TNF単独=3.8±1.8,混合=17.5±5.5)組織学的にも腫瘍内壊死像は明らかであった。しかし体重減少は混合製剤を投与したものが単独投与に比較し著しかった。 以上のようにTNFとfibrin gelおよびTNFとlipiodolの混合製剤は副作用に注意し、腫瘍内直接投与、あるいは選択的血管造影下での投与といった方法で用いれば臨床的にも応用可能であると考えられた。
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