研究概要 |
腸管の非特異的炎症疾患のクローン氏病・潰瘍性大腸炎・腸管ベーチェット病はその原因が不明であり、対症的治療方法として高カロリー輸液・ステロイド・サラゾロリン免疫抑制剤の投与がなされる。しかし、既知の事実として、長期間の高カロリー輸液は腸管の廃用萎縮に伴う局所免疫能の低下を招く。その結果、炎症性疾患の2次的病変の拡大、又治療の遅延を来す。 研究目的は(1)優れた抗炎症作用をもつEPAを吸収されやすい形態にし投与出来るように製剤開発することである。乳化剤としてレシチンを用い、乳化の製剤技術を確立し大豆油と魚油を混じω3系脂肪を含んだ乳剤を作製すること。(2)新規開発された脂肪栄養剤を動物疾患モデルを用い経静脈的投与法が効果的であるかを検討すること。(3)脂肪栄養剤としての効果の確認を動物モデルを用い至適な魚油の配合量を血清の脂肪酸の分析、組織学的所見、腸管粘膜の生物学的機能状態の検討を行うことである。 その結果、(1)安定化したEPA(ω-3系不飽和脂肪酸)の作製が可能となり、酸化の防止、経口的、経静脈的投与が出来た。(2)動物実験モデルの作成。TNBS(2,4,6-Trin-itrobenzen sulfonic acid)を肛門より注入し、7〜10日後に炎症状の大腸炎を作成した。(3)魚油(ω-3系不飽和脂肪酸)を用いての治療実験。 HY01 I〜V群での実験を行った。病理組織学的検討で大腸潰瘍の治療判定を行ったところ、II群とIII群で明らかに効果が著明に認められた。その他、体重、血液検査等では有意差は認められなかった。
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